教育・若者支援
HCT Group(2017年2月)
イギリス/ランベス
イギリスでは特別教育を必要としていて、個人で通学できない学生にたいして専用バスや専用タクシーなどで無料の交通手段を提供している。しかし、個人で自立した通学は学業成績や社会スキルの醸成につながることがわかっている。本件では、11から19歳の特別教育を必要とし、かつ通学のために以前に専用ミニバスや専用タクシーを利用したことのある学生を対象に、公共交通機関を利用して自分で通学できるようにスキルや自信を得るトレーニングを提供。一連のトレーニング後、12カ月以上モニタリングを行い学生が自分で自立して通学できるかを確認する。本プロジェクトの社会的インパクトや払い戻しについての情報は未公開。
資金調達額:42万£ 最大支払額:非公開
行政:
Lambeth Council
Big Lottery Commissioning Better Outcomes Fund
【成果指標】
・トレーニングを受けた学生が自立して通学できているか
Mother Teresa Middle School(2016年9月)
カナダ/サスカチュワン
学業成績が悪くなってしまうリスクのある若者が教育を受け学校に残ることを目的に、経済的、社会的要因により学業成績が悪化してしまう可能性のある約88人の学生を対象に支援を実施。本件の事業者であるMother Teresa Middle Schoolは学業成績の向上を学習指導のほかに、自信の醸成や社会的スキルをスポーツや音楽を通じて支援している。本プロジェクトの社会的インパクトや払い戻しについての情報は未公開。
期間:5年 資金調達額:100万CAD 最大支払額:116万CAD(見込み)
行政:Government of Saskatchewan
【成果指標】
・毎年測定される支援対象者の卒業率
Daekyo Consortium(2016年7月)
韓国/ソウル
東アジアで最初のSIB案件。将来の失業リスクなどが高い脆弱な子どもが教育的、社会的障がいを乗り越えることを目的に、グループケアホームにいるIQが71~84の子ども最大100人を対象に支援。3学年にわたって追加カリキュラムや社会スキル習得のための教育を受ける。本プロジェクトの社会的インパクトや払い戻しについての情報は本件の終了時に公開予定。
期間:3年 資金調達額:111,000万ウォン 最大支払額:143,000万ウォン
行政:Seoul Metropolitan Government
中間支援組織:Pan-Impact Korea LLC
【成果指標】
・IQスコアの上昇(IQが84を超える、あるいは学習障がいのある子どもは70を超えること)
・社会的スキルと態度の改善(一年に二回提出される学校の先生による報告書によって測定)
SKL Mission Mental Health and Health Navigator(2016年5月)
スウェーデン/ノーショーピング
子どもの学業成績の向上や学校からの排除を防ぐために、かつて州によるケアの対象になった子どもや若者を対象に支援を実施。本プロジェクトは民間投資家が公的セクター内の社会イノベーションに投資するという他のSIB案件とは異なる特徴を持つ。つまり公的セクターと社会的セクターを近づけて難解な社会課題に取り組む。学校での教育支援やチューター制度、社会サービスなどを組み合わせて提供された。本プロジェクトの社会的インパクトは2020年に評価が行われる予定。
期間:4年 資金調達額:1000万SKE 最大支払額:1200万SKE
行政:Municipality of Norrköping
【成果指標】
・学校での成績などのパフォーマンスがプロジェクト前後でどう変化したか
・経済的コスト など
Educate Girls(2015年6月)
インド/ラージャスターン
NGOが成果に伴う支払いを担う最初のDIB案件(途上国で行われる場合、Development Impact Bondと呼ばれるがSIBとスキームは変わらない)。現在公立小学校に通っていない女の子9000人、また小学校3から5年生の女の子9000人が対象。女の子の就学を高め、教育的かつ人生における広範な成果を上げることを目的に実施。またDIBがどのようにソーシャル・グッドに貢献できるかの概念実証という側面も持つ。主に女の子へ就学および学習支援が提供され、初年度では一定の成果を上げている。
期間:3年 資金調達額:27万$ 最大支払額:31万$
払い戻し機関:Children's Investment Fund Foundation(CIFF)
中間支援組織:Instiglio
【成果指標】
・女の子の公立学校への就学と識字能力・計算能力を統合して計測(成果支払いの20%は就学により、80%は学習成果による)
Lisbon primary schools(2015年1月)
ポルトガル/リスボン
小学生へのプログラミング教育の効果とSIBモデルの効果を検証するために、8歳から9歳の65人の生徒を対象に実施。1週間に1度のプログラム教育を1年間受けた。成果指標にてプログラミング教育を受けた学生が、そのほかの学生よりも9%以上良い成果を上げた場合、払い戻しが行われる。
期間:1年 資金調達額:12万€ 最大支払額:非公開
行政:Municipality of Lisbon
中間支援組織:Laboratório de Investimento Social
【成果指標】
・論理的思考力・問題解決スキルの向上(本プロジェクトの終了時にテストを実施し計測)
・ポルトガル語と数学の能力の向上(本プロジェクト終了後の2学期後に実施される全国試験にて計測)
Chicago Public Schools(2014年10月)
アメリカ/シカゴ
シカゴ公立学校の無料あるいは低価格ランチの提供を受けている4歳の子どもたちが対象。Child-Parent Centerというモデルを用い、幼児がプレスクールで教育を受けるほか、親への家庭教育や学習環境に関するサポートなどを提供する。本プロジェクトはすでに一定の成果を上げており、一部払い戻しも行われている。
期間:4年 資金調達額:1690万$ 最大支払額:3450万$
行政:City of Chicago及びCity of Chicago Board of Education
中間支援組織:IFF
【成果指標】
・幼稚園入学準備
・第3学年時の識字能力
・特別教育サービスの使用減少
Multiple service providers(2013年9月)
アメリカ/ソルトレイクシティ
グラナイト及びパークシティー学校区とグアダルーペチャーター学校の3歳から4歳の低所得家庭の子どもが対象。就学準備や成績向上を目的とした’High Quality Preschool Program’という独自の手法で1年から2年支援を実施。本プロジェクトは現在一定の効果を上げており、投資家は成果に応じた払い戻しを受けている。
期間:7年 資金調達額:700万$ 最大支払額:非公表
行政:United Way of Salt Lake and Salt Lake County (Cohort 1)
State of Utah (Cohort 2 to 5)
【成果指標】
・K-6にて特別教育の利用数の減少。
(K-6はアメリカ義務教育の学年の数え方。日本でいう幼稚園から小学校6年生までの間に相当)